今回は営業の中で「ヒアリング」についてお伝えします。実は営業マン時代「プレゼンテーション」ばかりに意識を集中していて、結果が出なかった事があります。セールスではこの「ヒアリング」が本質である事を思い知らされたのです。今日は営業での傾聴スキルについてお伝えします。

そもそも営業とは

チビた
優秀なセールスマンは何に気を付けているの?
兄貴
優秀な方ほど着眼点は違うものだね!特に今回の「ヒアリング」は優秀な方ほどきちんと意識をしていらっしゃるだろうね!

 

営業の目的

他の記事でも触れていますが、そもそも営業とは「お客様の問題解決」をする為の行いです。自社商品を無理やり勝手もらう事、ただ売りつける事は決してゴールではなく「購入後お客様がの問題が解決していること」がゴールです。

購買には2種類にモチベーションがある

物やサービスを購入される方には「+モチベーション」と「−モチベーション」と2つの購買意欲が存在します。+というのは「こうなりたい」など、未来に対するワクワクのイメージです。−というのは「こうなりたくない」という未来のリスクを回避したいという意欲です。

「可愛いお洋服を着て、好きな彼とデートをしたい」という+の欲求や、「このまま放っておくと痩せられないからダイエット器具を購入しよう」という−の欲求など、人は「ワクワクを手にする」もしくは「リスクを回避する」というように、大きく分けて2種類のモチベーションで物やサービスを購入しようとする訳です。

「ヒアリング」無しに営業はできない

営業とは「問題解決」だと定義しました。であれば「お客様の問題」をきちんと理解していないと、相手に的を得た提案が出来ないわけです。以前、私もきちんとヒアリングが出来ていない事が原因で、提案に失敗した経験があります。

「車が欲しい」という要望があっても、「休日家族で楽しむ為に車が欲しい」「仕事で使う為に車が欲しい」「生まれる赤ちゃんの為に新しい車が欲しい」「長距離運転も疲れない車が欲しい」と、ニーズは様々存在するものです。そしてお客様によっては、もっと根本的な「気持ち」「想い」があるかもしれません。

「実は幼少期、亡くなった祖父の愛車だった○○という車を、大人になったから自分も購入できるようになった。おじいちゃんと同じような人生を歩む為にも、この車が欲しい」といった、潜在的な気持ちが湧き出てくるかもしれません。

自然で本質的なヒアリングは「相手のストーリーを引き出す」事が出来ます。そしてそのストーリーは、相手の内側に眠る購買意欲を、一段と高める事に繋がります。もちろん不自然に聞きすぎるのではなく、相手が心地良いように傾聴できる事がポイントです。

デスクワークをしている女性

営業で先方と会う前にすべき事

では、実際どのようにヒアリングを行うべきなのでしょうか。相手の訪問前に「ヒアリング」は始まっています。

その1:訪問先の情報収集

法人であれば、ホームページを確認するのはマストと言えます。特に「沿革」「事業内容」「ビジョン」「理念」等の、4つの項目のチェックは不可欠でしょう。相手の会社が「何を大事にして、何をして来て、これから何をしていこうとしているのか」という「過去→現在→未来」は一貫して、事前に確認した上で訪問を行うのがマナーと言えます。

その2:問題を仮定する

事前に先方の情報をただ収集して終わるのではナンセンスです。情報確認が出来たら、今度は「先方はどのような問題を抱えているだろうか」と仮定しましょう。その問題は大小問わず、できるだけ大きく考えてみましょう。

・ホームページの集客に困っている

・中途採用に困っている

・後継者育成に困っている

など仮説を考えましょう。事前に「相手の立場になって考える」事が重要です。「相手に興味を持つ事」=「相手への信頼」に繋がります。この「問題を仮定する」ステップも、回数を重ねていく事でクオリティや精度は高まってくるものです。

その3:改善案を考える

そして3つ目に「我が社(私)が提供できる事」を考えましょう。自社の強み・特徴で提供できる事を、分かりやすく相手に伝えられるようにしましょう。

ちなみに「自社はホームページ制作会社だから採用の話しを聞かれても力になれない」と最初から考えるのはNGだと思っています。たとえ専門分野が異なっても「採用に詳しい○○会社と繋がっていますのでご紹介できます」「採用関係に詳しい○社長を知っていますのでお繋ぎできます」など、「自社(自分)ができる事は何か」をとにかく考える事が大切です。

虫眼鏡と書籍

ヒアリングの9STEPとは

いざクライアント先とお会いをしたら、どんなヒアリングを行っていくべきかをお伝えします。

STEP1:訪問の目的を伝える

まずは1時間程度、お客様とお会いをさせて頂くお時間を頂けたら、最初に「目的」をお伝えしましょう。目的は、事前のアポイント(メール・電話)のタイミングで、伝えているのがベストです。

『本日は1時間程度、お時間をありがとうございます。今日は御社(○○様)のご状況をお聞かせ頂いて、自社(私)がどんな事でしたらお役に立てるのかを、考えさせて頂けましたら幸いです。』

のように、最初に「時間と目的」をバチっと伝えるべきです。なぜかと言うと「主導権をこちらにする」「相手への不信感を解く」などのメリットがあります。最初に目的をお伝えする事で、コミュニケーションのスタートがこちらからになっているので、1時間ならその時間を上手にコントロールができる訳です。

また「何の為の時間なんだ」「何がしたいんだ」と不信感を与えないためにも、まず「目的」をお伝えするのがベストです。

STEP2:簡潔な自己紹介&実績を伝える

ヒアリングの前に、簡潔にこのフェーズを踏む事をオススメします。「30秒〜1分」でも問題ないでしょう。長過ぎると相手に不快感を与えかねません。自己紹介では「経歴・今の仕事をしている理由・今までどんな実績を出せたのか」を簡潔に伝えてみましょう。特に自己紹介と実績では「数字・具体性」を意識する事がポイントです。

「飲食店のお客様が複数います」ではなくて「現在まで3年間で6社の飲食店(カフェ・居酒屋等)に携わっており、平均して半年で110%の集客向上の結果が出せています」など、端的に数字を盛り込んでお伝えしてみましょう。

STEP3:相手の情報をダイジェストで伝える

話しを始める前に「事前に先方の情報をきちんと確認しています」と言う事をお伝えする事もとても大切です。「信頼の構築」と「時間短縮」になる為です。

『事前に○○などの事をホームページ・チラシから確認をさせて頂いております。今回は特に○○と○○の部分で絞ってお話しができればより良いお時間になると思っていますが、いかがでしょうか?その他、後ほど改めて確認をさせて頂きながら、お話しを進めさせて頂ければと思っております。』

以上のように、簡潔に先方に柔らかくお伝えしてみましょう。事前に情報収集をきちんとしている事は、相手にとってはそれだけでも「ここまで考えてくれていたんだ..」と信頼に値する訳です。また、0から先方にご説明をしてもらうてまと時間を短縮させる事もできる訳です。このようにちょっとしたご説明や前置きも、大きな意味を持って話し合いを進めて行く事ができます。

PCで調べ物をしているビジネスマン

STEP4:ヒアリングの流れを伝える

そしていざヒアリングをする際にも「相手に全体像をイメージさせること」が大切ですので事前にお伝えしましょう。

本日は「御社(○○様)の事業内容・ビジョン・抱えていらっしゃる課題等を改めてお話しを聞かせて頂ければと思います」等の前置きを、1クッション置く事で自然にヒアリングの流れに持っていけるものです。質問は突然すると「いきなり感」が相手に伝わってしまいますので、この「クッション」にも意識をしてみましょう。

STEP5:「現在」を聴く

ヒアリングをする際には先ずは「今」にフォーカスを当てた質問をすべきでしょう。「今」の事は、未来や過去に比べて思い出したり、考える手間もないため、相手も最も話しやすいからです。相手の立場に立って質問をする事が不可欠です。

・現在の事業内容

・現在のお仕事内容

・具体的な業務内容

・1週間のワークスタイル

等、のヒアリングをしてみましょう。目的は「相手を知る事」です。少しずつ質問をする事で、「相手の大切にされている事」なども垣間見えてくるものです。

STEP6:「過去」を聴く

現在のお話しを一通り聞く事ができたら、過去のお話しを聞いてみましょう。実は「過去」の話しが、人が最も心を開くタイミングです。

・現在までのご経歴は

・なぜこの仕事をしているのか

・中学・高校・大学時代等の学生時代はどんな風に過ごされていたのか

・幼少期の思い出

・お仕事で一番苦労した体験

・お仕事で最も嬉しかったご経験

など、「プライベート」に踏み込めれば踏みこめるほど、心を開いてくれるものです。前提として「自分自身が心を開かない事には、目の前に人も心を開いてくれない」と言う事を理解して置く必要があります。もし相手にプライベートのお話を聞く際には「自分も実は○○な学生時代だったんです」「前職はこんな仕事だったんです」と、上手に自分も過去も伝える必要があるでしょう。

「自己開示」と言って、自分が心の扉を開く事で、相手も自然と心の扉を開いてくれるものです。もし「信頼関係を構築したいのであれば、先ず自分から心を開く」と言うスタンスが大切になります。

クライアント先での営業風景

STEP7:「未来」を聴く

「現在」「過去」と相手のお話しを聞く事ができたら、相手はきっと最初より心を開いてくれているものです。心を開いた状態で、未来の話しをした時は「本当に思い描いている事」と、話してくれるものです。

・会社(○○さんは)はどんなビジョンを掲げているのか

・3年後や5年後の理想的なイメージ

等をぜひ質問してみましょう。もちろん「本当に興味を持っている」と相手に伝わっている事が大前提です。ここでも同じように先ずは自分から、簡潔にビジョンをお伝えしてみても良いでしょう。

「弊社(私)は3年後は今の事業を○○な状態にして、そして○○と言う新しい事業もスタートさせたいと思っています。ちなみに○○さんはどのようなイメージをお持ちですか?」

などのように、クッションを置いご質問をする事で、相手もきっと自然を話してくれるものです。未来のイメージを鮮明にお聞きできる事で、次の大事な質問に繋がってきます。そして未来のイメージの中で「自社(自分)と似ているやりたい事」が先方から出てくるのであれば、ぜひそこにも触れて更に話しを掘っていくのもポイントでしょう。

もし1時間程度のアポイント時間であれば「30分」でも、しっかりとここまでヒアリングの時間を取っても良いでしょう。

STEP8:問題・課題を聴く

ここでいよいよ本題に近付いてきます。「現在→過去→未来」と真剣にお話を聴く事ができれば、相手もきっと心を開いてくれている状態でしょう。もちろん小手先の傾聴ではなくて、相手に真剣さが伝わらないと意味がありません。

『沢山お話を聞かせて頂きまして、ありがとうございました。そして私の話しも真剣に聞いて頂いてありがとうございました。ちなみに、○○と言う未来のイメージをお持ちですが、現在はそれに対して御社(○○様)のご活動はいかがでしょうか?ビジョンに向かっていると納得はいっていますでしょうか。』

のように、言葉を丁寧に選びながら、再度現実に話しを持ってきてみましょう。そこで相手が本音を伝えてくれるものです

『実は○○があまりうまくいっていなくて…』『本当は○○をしなければいけないと思っているけれども、手が回っていない…』など。そこに「ニーズ」が潜んでいるのです。

そこに対して『仰って頂いてありがとうございます。○○の課題があると言う事ですよね。弊社(私)は○○を専門として活動をさせて頂いていますので、更に○○の事を詳しく聞かせて頂いても宜しいでしょうか』のように、深掘りできる質問をしてみましょう。

STEP9:ゴールは「ありがとう」と「笑顔」

30分〜1時間程度、目の前の人のお話をきちんと「聞き切る」経験はあるでしょうか。「聞く」だけではなく「聞き切る」のがポイントです。ヒアリングの最上位の褒め言葉は、

『実は今までこんな話しを、初めて人に話しました。ここまで話しを聞いてくれてありがとうございます。』

と言ってもらえる事です。「相手が誰にも離した事がない事を、誰よりも真剣に傾聴できること」がヒアリングの本質と言えるでしょう。きっと相手の方は「ありがとう」と「笑顔」が残りますので、そこから信頼関係の構築はスタートしていくものです。

ぜひ5分でも、1時間でも、時間に関係なく「ヒアリングのゴール」をここに設定して取り組んでみてください。

握手をしている社会人

傾聴力を高めるポイント

相手に合わせる

特に「声の大きさ」「話すスピード」「右脳・左脳タイプ」の3つを相手に合わせる事は重要です。メラビアンの法則でも、「何を言っているか」ではなく「どう言っているのか」で相手には多くの印象が残るものです。例え素晴らしい話しをしていたとしても「聴き方」「話し方」が心地よくなければ、相手に不快感を与えかねません。

声が小さい人には、なるべく大きな声を避けて、話すスピードがゆっくりな人には、なるべくおペースを合わせる事も意識してみましょう。右脳・左脳タイプというのもとても重要な意識すべき要素です。右脳(イメージ・直感)で、左脳(論理・数字・ロジカル)ですが、左脳型のタイプの人にはなるべく「結論ベース」で話しをするのがベストでしょう。右脳ベースの人には「例え話」を適度に盛り込むなど、意識すべきポイントです。

話の聴き方として、相槌や質問など「割って入られる事が嫌な方」も多いです。逆に話しを聞いているときに「リアクション」が欲しい方もいます。それを知る為には相手をよく観察する事です。特に相手が「どのように人の話しを聞いているのか」を見てみましょう。基本は、相手に合わせれば、相手に大きく不快を感じさせる事も無いでしょう。

もちろん疲れ過ぎたり、自分を押し殺してまで合わす必要は無いと思いますので、バランスを大切にしてみてください。

話しの脱線に注意

ヒアリングをしていると「人によってはとても話しが長い人」「話しが脱線してしまう人」もいます。もし「1時間」など、お尻の時間が決まっているのであれば、尚更意識をしなければいけないのが「時間のコントロール」です。時間や話の流れをコントロールできる力も、ヒアリング能力の1つと言えます。

『あと15分ほどお時間がありますが、○○と○○についてご質問をさせて頂ければと思います』

などのように見通しを伝えてしまう事で、相手が時間を再認識してくれる可能性があります。または、

『ところで、○○さんは○○についてはどのようにお考えですか?』

のように、「ところで」「ちなみに」などの接続後を挟んで、相手に質問をする事で脱線から回避できる場合がありますので、ぜひ現場で試してみてください。

まとめ

チビた
ヒアリングって奥が深いものだと知れたぞ!
兄貴
そうだね!ただ話を聞くのではなく、相手も気付いていない深層心理を引き出す事ができたら、ヒアリングの達人だろうね!

 

今回は営業における「ヒアリング」についてお伝えをさせて頂きました。ヒアリングの前に事前準備、現場での9つのヒアリングSTEP、そして注意点など、ぜひ明日からの現場で役立てて頂けたらと思います。ヒアリングは「相手に興味を持つ事」が最初のSTEPです。もし相手に興味を持てていないのであれば、相手は「仕事で聞いてるな」と見抜かれてしまうものです。

世の中には本当に色々な会社、仕事、そして人がいるものですよね。「こんな働き方をしている会社があるんだ」「こんな風な想いで働いている人がいるんだ」と、知れば知るほど、多くの人がいる事に気づくのではと思います。一社一社、そして一人ひとりの出会いを楽しんでみる事が、まず大切では無ないかと思います。本日も最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。