起業をしようと思い立った時、また新規事業を考える際、どのように考えたら良いか迷ってしまったご経験はないでしょうか。先駆者が残してくれた「フレームワーク」を活用する事で、格段に成功確率が高まる可能性があります。今回はその中で厳選して紹介します。

フレームワークはビジネス立案の近道

チビた
新規事業を考える時にフレームワークはぶっちゃけ使えるの?
兄貴
フレームワークに沿って考える事で時短・最短で事業の構想を練ることができるんだよ!

 

フレームワークは「成功者の頭の中」を借りられるもの

フレームワークとは文字通り「枠組み」の意味ですが、多くの世界的な経済学者や経営者が実践している、実証された分析方法と思って間違いありません。言わば「成功者の頭を借りる」事がフレームワークと言えます。その中には失敗事例、成功事例を何度も繰り返されて築き上げた、ロジックが詰まっていますので使わない手はありません。

ただしフレームワークと言えど「事業内容」等でも若干異なるので、臨機応変な考え方は必要になります。実際に新規事業を考える際に、どんな風なマーケティングのフレームワークがあるのかを見る前に、ちょっと「マーケティング」の言葉の意味について整理してみましょう。

そもそもマーケティングとは?

今更「マーケティングって何ですか?」って聞けないかもしれませんが、かなりこの定義は曖昧に捉えている人が多い事でしょう。10人に聞いたら10人が「なんとなく」で違う回答をするかもしれません。

マーケティングの言葉は、市場で取引するという意味の「マーケット(market)」から派生した言葉ですが、その歴史は産業革命以降、モノが溢れて「企業が自社商品を選ばれるための競争」がキッカケになったと言われています。ここで2名のマーケティングの巨匠の定義をお伝えします。

フィリップ・コトラー氏のマーケティング論

コトラー氏はマサチューセッツ工科大学で経営学博士号を取得した後、ハーバード大学で数学、シカゴ大学で行動科学を研究した「マーケティングの神様」と呼ばれている人物です。その功績から「コトラー・アワード」と呼ばれる、世界中の秀でたマーケティングや経営を讃えるための団体まで設立しているのです。

フィリップコトラー

コトラー氏はマーケティングは3つの軸で変化をしてきていると論じています。それが「製品管理(1950年〜)」「顧客管理(1970年〜)」「ブランド管理(1990年〜)」の3つで、マーケティングは19世紀より企業が「どうやって効率的に販売するのか」を推し進めて、考えられたものだと伝えています。コトラー氏はマーケティングを「顧客と長期的な関係を築く事」と端的に伝えています。

ピーター・ドラッカー氏のマーケティング論

日本では「もしドラ」(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)の原作で有名な、ピーター・ドラッカー氏は、世界中で「経営学の神様」と賞賛されている人物です。ドラッカー氏はのマーケティングの定義は、以下のように伝えています。

マーケティングの理想は、販売を不要にする事である。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、自ずから売れるようにする事である。参照:Web活用術

つまり「セールス活動を不要にする事」がマーケティングの本質だとドラッカー氏は伝えています。私自身もマーケティングの定義で最もしっくりきたのが、ドラッカーのこの言葉でした。「お客様が自然に集まり、自然に販売される仕組み作り」ができて初めてマーケティングの成功だと言えるのです。

それでは、実際に「マーケティングをどうやって考えるべきなのか」という事を、フレームワークから1つ1つ考えていきましょう。

マーケティング思考で使えるフレームワーク7選

その1:5つのマーケティングプロセス

前項でマーケティングの定義を明確にしましたが、マーケティングを考える場合「販売促進」など一部を考えるだけではなく、全体で考える必要があります。そのプロセスの一例として、以下の5つの流れが考えられます。

マーケティングプロセス

1.環境分析

市場規模が十分に見込めるマーケットであるか、時代に合っているのか、自社の強いが活かせる環境であるか等を分析します。

2.セグメンテーション

顧客分析を細かく行うステージです。顧客をグループ毎に分類できるよう分析を行う事をセグメントと言います。

3.ターゲッティング

セグメンテーションの後、自社の特徴や強みが最も効果的に通用するグループを絞り込みます。これがターゲッティングのステージです。

4.ポジショニング

ターゲッティングが決まったら、自社が提供できて、かつ見込み客が求めている価値を明確にしていきます。

5.マーケティングミックス

自社の商品(サービス)の価値が適切に顧客に伝わる施策を分析します。代表的には4Pなどの、マーケティング戦略を駆使していきます。

これら5つの流れが代表的なマーケティング全体像と言えます。注意点としては、企業のサービスも顧客のニーズに合わせて考える必要がある為、この5つを柔軟に練る事です。1に近付くほど本質的な概念となるので、課題が見えたらその都度、本質から見直していくのがセオリーでしょう。この5つの流れで「事業の絵」が描けていなければ、かなり厳しいビジネスになり兼ねません。次項では、更に踏み込んで具体的なフレームワークを見ていきましょう。

その2:4つの競争地位分類

先ほどご紹介したコトラー氏の提唱する、業界に置ける地位を分析するフレームワークです。マーケティングを考える上で「自社がどの立ち位置にいるのか」は、まず考えるべきポイントです。下の図で分かるように、コトラー氏は4つの分類に分けて考えていて「リーダー」「チャレンジャー」「ニッチャー」「フォロワー」に分類しています。「経営資源(質と量)」を中心に、縦軸が「質」、横軸が「量」を表しています。

参照:Mirai Arch

リーダー企業

リーダー企業は全体シェアの40%以上とも言われており、市場規模が拡大した際に最も恩恵を受けるのがこのポジションになります。経済と経営資源の独自性を有しており、業界の中では他の競合他社に対して明確な優位性が見えている企業と言えます。

チャレンジャー

リーダーに続いてのシェアを誇っていますが、質が追いついていない企業群と言えます。チャレンジャーに位置する企業は、規模の優位性があるものの、リーダーの模倣から改善を繰り返しているポジションと言えます。

ニッチャー

いわゆる「ブルーオーシャン(スキマ市場)」を狙うポジションがここです。リーダー・チャレンジャーが資本を投下して本気で参入してこない市場を狙って、独自の地位を築くのが戦略です。マニア向け市場等、市場開拓の目利きが重要になります。リスクとして大手が参入してきた場合の事を常に考え、第2・第3の手を打てるように準備しておく必要があるでしょう。

フォロワー

経営資源の質も量も、最も小さいポジションがここに当ります。もしすでに世の中に市場がある場合、ベンチャー企業、新規事業はここに重点を置いて考えるケースがほとんどだと言えるでしょう。リーダー企業群にとって、参入してもメリットが大きく見られないようなマーケットを狙って、一点集中で事業に投下していく必要があると言えます。

その3:セグメンテーション

セグメンテーションとは、どの顧客層をターゲットにするのかを決める為の考え方です。ターゲットを絞り込むためには、顧客全体のグループをより細分化して考える必要があります。以下のように、3つの視点からセグメントを考えてみましょう。

セグメンテーション

参照:LANDGATHER

1.ジオグラフィック

国・地域・地方・気候などの視点から分類を考えてみましょう。

2.デモグラフィック

年齢・収入・家族構成・男女比率・学歴等の視点から分類を考えてみましょう。

3.サイコグラフィック

購買頻度・使用頻度・ライフスタイル・価値観などから分類を考えてみましょう。

WEBでのショッピングやSNSの多様化から「顧客の購買スタイルの多様化」が、時代に大きな流れになってきています。特にサイコグラフィック(心理学的属性)を、明確に考えなければ大きくコケてしまいかねません。3つの視点から、セグメンテーションを明確に行ってみましょう。

その4:マーケティングミックス

マーケティング戦略を考える上で、代表的なフレームワークがこのマーケティングミックスです。1960年代にアメリカのマーケティング学者である「ジェローム・マッカーシー」が提唱したもので、4つの頭文字のPから顧客価値を考えます。この4Pは「企業側の視点」なので、さらに「顧客側の視点」でも考える為に4つの頭文字であるCからも分析する事が不可欠です。

つまりマーケティングミックスは、売り手側の4P、そして買い手側の4Cの両方の視点で考えるフレームワークとなります。

マーケティングミックス

参照:MEN’S EDGE

1.製品戦略×顧客価値

製品戦略(Product)と顧客価値(Customer Value)を考えます。プロダクトなので「機能」「品質」「デザイン」「パッケージ」と言ったものが含まれます。

2.価格戦略×コスト

価格戦略(Price)とコスト(Customer Cost)を考えます。ここでは「販売価格」「割引」「支払い方法」「契約期間」等も含まれます。

3.流通戦略×利便性

流通戦略(Place)と利便性(Convenience)を考えます。流通戦略とは「販売チャネル」「流通経路」「物流」「品揃え」等を指します。

4.プロモーション戦略×コミュニケーション

プロモーション戦略(Promotion)とコミュニケーション(Communication)を考えます。プロモーションとは「広報」「広告」「口コミ」「販促方法」「サンプリング」と行った内容を指します。「インフルエンサーマーケティング」「バズマーケティング」「コンテンツマーケティング」なども、その一つと言えます。

このフレームワークで大切なことは「顧客視点」に重きを置けるか、と言う事でしょう。製品力があっても、流通が素晴らしくても、広告が素晴らしくても、全て4つの組み合わせで「顧客に選ばれるものであるか」と言う視点が必要になります。単一的に見るのではなく、全体が欠ける事なく1つの流れとして捉える必要があると言えます。

その5:ポジショニング・マップ

ポジショニングとは、市場において競争優位性を築く為の独自のイメージを与える為の施策です。「○○と言えば自社」と言うように、市場の顧客に対して完璧にイメージが与えられていれば、ポジショニングは成功できていると言えます。このポジションを業界内で可視化したものが「ポジショニング・マップ」です。

ではどのようにポジショニング戦略を考えれば良いのでしょうか。参考として、以下のマップを見てみましょう。

ポジショニングマップ

参照:ORANGE

ポジションを考える上で最も重要なポイントは「KBF(Key Buying Factor)=顧客の購買決定要因」を元に考える事です。ポジショニング・マップでは2つの軸で、業界を考えます。基本的には「価格(高い・安い)」と「機能性(高い・低い)」がオーソドックスな考え方となります。マップを完成させる為には、最低限の同業他社の競合調査が必要です。基本的には「企業」か「商品」で考えます。

領域(円)はその会社の規模(カバー範囲)を表しており、どの会社がどの場所に位置づけられるのかを一目で分かるようにマッピングしましょう。マップ上で「企業(もしくは商品)」がマッピングされていない箇所が、まだ手の付けられていない市場と推測が出来ます。

しかし「顧客に求められる領域」を考えない事には、企業の独りよがりになり兼ねません。競合分析と自社の立ち位置を明確にし、かつマーケティングミックスで連動した分析が必要になります。

その6:プロダクト・ライフサイクル

通称PLCと呼ばれ、製品の寿命を4つのステージに分類して考えるフレームワークです。各ステージ毎に「市場の成長率」「財源の必要性」「マーケティング戦略」などのカテゴリーで、分類をしていく事が出来ます。

このプロダクト・サイクルのフレームワークに附随して「テクノロジー・ライフサイクル(TLC)」という分類も存在します。それが「イノベーター」「アーリーアダプター」「マジョリティー」「ラガード」の4分類です。このTLCは、アメリカのコンサルタントであるジェフリー・ムーアが提唱したもので「新技術のテクノロジーが市場でどのように広がっていくのか」が理解できる分類になります。PLC・TLCと合わせてお伝えをします。

参照:マネジメントオフィス桜田

導入期(第一ステージ)

「認知」が最も重要なステージで、「いかに顧客に知ってもらうか」「手に取ってもらうか」を考える必要があります。「市場の成長率」は高く、「財源の必要性」は多く求められ、「マーケティング戦略」は市場拡大の一手です。この段階では資金が必要になり、赤字スタートとなるのが前提と言えるでしょう。

イノベーターとは「革新者」で、斬新なテクノロジーに敏感ないわゆる「マニア層」「オタク層」で、企業がマーケティングを行う前に、必要な情報を自ら取得して、購入をしてしまう人たちです。業界や企業としては収益源としては限りなく低いですが、専門のオタク層だからこそ、市場に与える影響力が大きいとされています。

成長期(第二ステージ)

顧客に認知されて売上が急成長に伸びるステージです。一方で競合他社も増えて、新規参入企業も増えてくる為、設備・営業投資等の資金がやはり必要になります。第一ステージと同じく、「市場の成長率」は高く、「財源の必要性」は多く、「マーケティング戦略」は市場拡大です。

アーリーアダプターとは「初期採用者」の意味で、イノベーター同様にかなり情報感度が高い層です。但し、イノベーターとの違いは「技術」を求める感度ではなく、「目新しさ」「メリット」「スペック」を求めて購入する顧客だと言えます。

成熟期(第三ステージ)

市場成長が落ち着き、シェアを奪い合うステージです。このステージでは新規参入企業は少ないですが、市場が飽和している為、価格競争に巻き込まれるなど、限られた顧客を取り合うタイミングと言えます。業界全体的に、利益率は縮小をしていきます。このステージでは、「市場の成長率」は低くなり、「財源の必要性」も少なくなります。「マーケティング戦略」としてはシェアを維持する事に注力する必要があります。

マジョリティーは「多数派」の意味で、購入者全体の60%程度にも及ぶ最も収益をもたらす層です。購入前に広告で何度かみている状態で、人の意見、口コミ、商品内容等をきちんと把握した上で購入する顧客です。「役に経つのであればこ運輸しよう」「みんなが使っているしそろそろ自分も購入しよう」という、思考が働いています。企業にとっては、この「マジョリティー層」をどのように自社に呼び込むのかが、生命線と言えるでしょう。

衰退期(第四ステージ)

衰退のタイミングを伺うステージです。資金自体は少なくて済みますが、同時に需要が少ない為、撤退を考えるべきタイミングと言えます。このステージでは、「市場の成長率」は低く、「財源の必要性」は少なく、「マーケティング戦略」としては生産性の確保が求められます。

ラガードとは英語で「グズグズしている人に」の意味で、新しい商品をしぶしぶ需要するか、もしくは最後まで検討しない人を指します。新しい商品が出ても「自分は前のモデルの方が使いやすい」というように、旧来の製品に信念を持っている、もしくは新しい事には否定的な人が該当すると言えるでしょう。この層は全体の約10-15%程度と言われる為、マーケティングにおいては「顧客の視野に入れない」事も1つの戦略と言えるでしょう。

以上が4つのサイクルになります。但しこの4つのステージに必ずしも全てが当てはまるというわけではありません。一気に流行となり、縮小する商品や、季節のサイクルで人気と衰退が交互に入れ替わるスタイルや、長い間市場でヒットを続ける商品もあります。業界・商品・タイミングによって、このPLCは異なる為、1つの参考として捉えてみましょう。

その7:AISASの法則

消費者の行動プロセスを的確に表した「AIDMAの法則」が、現代版に進化したのがこの「AISASの法則」です。この法則は、大手広告代理店の「電通」が導き出したもので、インターネット上では「商品を知ってから購入するまでのプロセス」が変化しているのです。AIDMAのグルーピングにさらに、心理プロセスが追加(進化)された考え方で、特にWEBマーケティングでは必要不可欠なフレームワークと言えます。

参照:Web担当者の知識

Attention(注目)

テレビCM・電車内の広告・駅のホームの広告・街のサイネージ広告・新聞・YouTubeの広告等で、「商品を知る」プロセスです。

Interest(興味・関心)

「なんとなく広告をじっくり見ちゃう」「へ〜というように何らかの興味が湧いている」プロセスです。

Search(検索・評価チェック)

ここでは実際に「行動」を起こすプロセスです。興味→検索には大きなパーセンテージの違いがあるともされています。「気になっても、自ら検索まではしない」人も大半でしょう。実際に検索エンジンなどで、商品の評価・口コミ等を確認するプロセスと言えます。

Action(購買)

顧客が商品を比較検討後、実際にインターネットの通販や、実際の店舗で購入するプロセスです。

Share(共有)

顧客が商品・サービスに満足した場合、購買者はSNSやブログ等で口コミ(拡散)をしてくれるプロセスです。

以上の5つのプロセスで、購買者の心理が理解できるでしょう。1つ1つのプロセスで「何をどのように改善すれば数値が改善するのか」を考えて、実行することがマーケティング担当者の役割と言えます。但し、全ての商品がこのプロセスを踏んでいる訳でもありませんので、1つの指標として考えてみましょう。

以上が、新規上でマーケティングを考える上で活用したい7つのフレームワークです。業界、商品、タイミングによっては完璧に当てはまらない箇所もあるかもしれませんが、高確率でビジネスの立ち上げにパワーをもたらしてくれるものと言えるでしょう。

まとめ

チビた
商品の購入プロセス等も事前に分かって入れば、先手を売って事業が立ち上げられるね!
兄貴
フレームワークを上手に活用して社会の激戦を切りぬけよう!

 

フレームワークは頭の中に、成功者や経済学者の「思考」を借りられる「ツール」です。ぜひ事業開始前に活用して、戦略的にビジネスを考えていきたいものですね。事業によっては、必要・不必要のフレームが存在するかもしれません。同じ業界の他者がどのような分析を行っているのかも、調査をすると面白い発見があるかもしれません。

マーケティングの定義は「セールス活動を省いて、自然にモノが売れる仕組みを作る」事と定義しました。ぜひ、この理想の状態に向かって私も自分のビジネスを進めていきたいと思っています。最後までお読み頂きまして、今回もありがとうございます!